其之弐

鉄之丞へ

この手紙をもって、俺の貴様の主としての最後の仕事とする。

まず、貴様の病態を解明するために、伊香川に病理解剖をお願いしたい。即刻。
以下に、貴様の最近の堕落ぶりについての愚見を述べる。
永劫の時を生きることを考える際、第一選択はよき伴侶を持つことであるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には俺と貴様の場合がそうであるように、
永年連れ添ったが故に関係性に齟齬をきたした例がしばしば見受けられる。
その場合には、一時的に距離を置くことを含む関係性の発展的解消が必要となるが、
残念ながら、今更貴様を解放してやるほど、俺は寛大ではない。
これからの俺と貴様の不滅の関係続行は、貴様の性根の入れ替えと、その成長にかかっている。
俺は、貴様が、俺のよき伴侶たり得る数少ない不死者であると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
貴様には日々の精進と堕落した性根の入れ替えに挑んでもらいたい。
遠くない未来に、俗臭に満ち、堕落しきった貴様の煩悩が、消えてなくなることを信じている。
でなければ、貴様を病理解剖の後、灰にして壷に保存する。
今の貴様は生ける屍なり。

なお、自ら生涯の友として貴様を選んでおきながら、貴様の堕落を早期発見できず、
みすみす秋葉原やビッグサイトに送り出していたことを、心より恥じる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　蘭 童