VENUS

Jezz-02

その泉は封ぜられることなし
そはわが欲求の消えざるごとし
わが憧憬のとこしえに燃ゆるゆえに
われはその泉にとこしえに渇きをいやさむ

と、すっかり妖艶なるヴェーヌスの快楽帝国の虜となったタンホイザーは謳うのであります。
……あ、ワーグナーの「タンホイザー」ね。
いいこぶりっこの他の騎士やら領主さまは、おおいに憤慨し、ローマに懺悔に行かせます。
清らかな乙女は、愚かなタンホイザーのために、自己犠牲発動です。
それによってタンホイザーの罪は赦される(そして昇天する)のですが、
……それでいいんですか? よかぁねーだろー!
もとい、よくありませんよね(笑)。
タンホイザーは、絶対にヴェーヌスの元に戻って、
再び、そして永遠に、悦楽の人外魔境に身を投じるに違いない
と、私は思うのである。
やっぱ行くならアッチだろう? それしかないだろう?
少なくとも「うちのタンホイザー」は、そうするね。うん。

あらゆるものを受け容れ、快楽に悦楽に肉欲の世界に飲み込んでしまうヴェーヌスベルク
(一説によると洞窟であるらしい)は、 まさに黒。

今回の二作は、いずれもビアズリーが題材にしたものから選んでみました。やっぱ白黒っていったら
ビアズリーでしょ……というのは、 まったくの後付け(笑)。
しかし、なんでまた二枚とも男が死んでますかね(笑)。

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